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ポーランドのクリスマスはどのように過ごすの?~世界のクリスマス~

あなたはポーランドという国のことをどのくらいご存じですか?
ポーランドは宗教的な観点から見ると興味深い国です。

ポーランドの人口の87.5%がカトリック教徒であり、
カトリック教会は国内で最大の宗教グループです。

多くのポーランド人にとってカトリックは生活や文化の一部であり、
社会的名声と政治的影響力を持っています。

カトリック教会は共産主義時代の弾圧にも耐え、
ポーランド特有の遺産と文化の宝庫です。

ポーランドはカトリック市民の割合がヨーロッパのどの国よりも高く、
カトリック教会は国の歴史と文化に深く根付いている国といえます。

〇ポーランドでのクリスマスシーズンの過ごし方

過去にも様々な国のクリスマスの過ごし方についてお伝えしてきました。

オーストラリアのクリスマスはどのように過ごすの?~世界のクリスマス~

アメリカのクリスマスはどのように過ごすの?~世界のクリスマス~

クリスマスシーズンが世界一長い?フィリピンのクリスマス事情と祝い方

ポーランドのクリスマス・シーズンの過ごし方は土地柄か、
それとも宗教的理由もあるせいか日本人にとっては独特です。

どんなクリスマス・シーズンを迎えているのか見ていきましょう。

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・聖アンデレの日(11月30日)

ポーランドの伝統的な日として祝われます。
この日には占いが行われることが多くあります。
聖アンデレの日の伝統的な過ごし方ついては以下の通りです。

1.占い
聖アンデレの日には未来を占うためのさまざまな占いが行われます。

例えば、ハート形の厚紙に針を刺す占いや、
シャッフルされたカップを選ぶ占い、
トランプによる占いなどがあります。

これらの占いは、恋愛運や金運、健康、幸福などを示すものです。

2.学校での祝賀
学校では生徒たちが聖アンデレの日に集まり、
占いを楽しむことがあります。

この日は特別な休日ではありませんが、
学生たちにとって楽しいイベントとなります。

聖アンデレの日はポーランドの文化的な伝統を守り、
友人や家族と楽しい時間を共有する機会となっています。

・聖バルバラの日(12月4日)

この日にも特徴的な占いが行われることが多くあります。
以下に聖バルバラの日の占いについていくつかの伝統をご紹介します。

バルバラの枝:
ドイツやフランスのアルザス地方ではサクラやアンズ、リンゴ、
レンギョウなどの枝を12月4日の聖バルバラの日に水にさし、
クリスマスの頃についた花の数で幸福を占います。
この占いのための枝を「バルバラの枝」と呼びます。

バルバラの麦:
聖バルバラの日に水に浸した小麦がクリスマスに芽吹いた数によって、
翌年の豊凶を占うことも行われます。
これらの麦は「バルバラの麦」と呼ばれます。

またポーランドでは、アドベント(待降節)もクリスマス前の期間を指します。

アドベントは11月30日に最も近い日曜日からクリスマス・イブまでの約4週間で、
キリストの降誕を待ち望む時期です。

この期間には4回の主日があり、最初の日曜日を第1主日とし、
その後、第2、第3、第4の主日が続きます。

アドベントはクリスマスの準備と喜びを共有する特別な時期となっています。

聖バルバラの日は家族や友人と一緒に
アドベントの期間を楽しむ機会となっています。

・聖ニコラウスの日(12月6日)

この日は子ども達がニコラウスのために靴を出しておき、
その中に小さな贈り物を入れてもらう日です。

また地域にもよりますがミコワイ(聖ニコラウスのこと)が
司教の服を着て登場し子供たちにキリスト教の教えについて質問したり、
短いお祈りの言葉を繰り返すよう促すこともあります。

そして良い子はごほうびをもらい、
悪い子だった子どもはむち打ちの罰の象徴である
石炭や小枝をもらうのです。

待降節の残り期間はクリスマスの準備をする日で
家を掃除したりオプワテックというウエハースのような食べ物を
買いに行ったり、パンを焼いたりと忙しく過ごします。

・クリスマスイブ(12月24日)、クリスマス

クリスマスイブの夜からは24時間断食をします。

そして次の日の夕暮れの空に最初の星が出たことを確認すると
クリスマスの食事が始まります。

この日にはいくつかの伝統的な習慣があります。

1.家族との集まり
クリスマスの日は家族が一堂に会し、
特別な料理を共に楽しむ日です。

伝統的なポーランド料理がテーブルに並び、
家族や友人との団らんが楽しまれます。

2.ミッドナイト・ミサ
多くのポーランド人はクリスマスの夜に
教会でミッドナイト・ミサに参加します。

教会での祈りと讃美歌を通じて、クリスマスの意味を祝います。

3. プレゼント交換
クリスマスの日には家族や友人がプレゼントを交換します。

クリスマスツリーの下にプレゼントを置いたり、
サンタさんがプレゼントを持ってくると信じられています。

・クリスマスの翌日(12月26日)

またクリスマスの翌日12月26日も大切な行事のある日とされています。

1.セカンド・クリスマス・デー
ポーランドでは12月26日はセカンド・クリスマス・デーとして祝われます。
この日は家族や友人と再び集まり、クリスマスの余韻を楽しむ日です。

2.休息とリラックス
クリスマスは忙しい日であるため、翌日はゆっくりと休息を取ることが大切です。
家族と過ごす時間や、好きな本を読んだり、映画を観たりするのも良い方法です。

3.散歩やアウトドア活動
天気が良ければ、散歩やアウトドア活動を楽しむのも良い選択です。
冷たい空気を吸い込みながら、自然の美しさを堪能しましょう。

このようにポーランドのクリスマスシーズンは、
家族との結束や温かい雰囲気を大切にする文化が根付いています。

〇ポーランドでよく食べられるクリスマス料理

ポーランドでクリスマスに食べられるのは12品の料理と
家族プラス1人分の食器が用意されます。

12という数字はイエスキリストの12使徒によるとも、
1年の12か月沿っているともいわれています。

食器を1人分増やすのは空席を精霊や亡くなった家族、
突然の来訪者のために用意しているそうです。

料理は野菜料理、魚料理、ピエロギと呼ばれる
小麦粉で野菜やチーズなどをくるんだお団子などが
食卓に上がりますが、クリスマスに肉料理は食べません。

以下はポーランドでよく食べられているクリスマス料理の一例です。

・バルシチ

ボルシチは鮮やかな赤色が特徴の伝統的なスープです。
この色は材料であるビーツの色素によるものです。

ロシア料理のボルシチと名前は似ていますが、
こちらのバルシチは基本的にスープだけを頂きます。

以下は、バルシチの基本的な作り方です:

ビーツの準備:
ビーツを皮付きのまま柔らかくなるまで茹でます。
茹で上がったら皮をむいて千切りにします。

スープの作成:
別の鍋にスープ用の香味野菜や香辛料、
だしを取るための肉または骨(大抵は牛のもの)を入れて煮込み、
スープを作ります。

野菜と肉を取り除いたスープに先ほどの火を通したビーツ、
皮をむいたにんにく、ローレルリーフとオールスパイス、
お酢少々(レモン汁を使うことも)を入れて10分から15分煮ます。

仕上げ:
スープを漉したら、最後に塩・胡椒、マジョラムを入れて出来上がりです。

ボルシチはそのままいただく他、茹でたじゃがいもやウシュカ
と呼ばれる小さいピエロギを具にすることもあります。

・ジュレック

ジュレックはライ麦を発酵させた液体から作る
ちょっと酸味のあるスープです。

このスープに欠かせない材料が「zakwas(ザクファス)」というものです。

ライ麦粉とふすまを基本とした健康的な原材料で、
乾燥キノコやゆで卵、白いソーセージなどを加えて食べます。

ジュレックはポーランド、ベラルーシ、チェコ、スロバキアなど
北のスラブ地域の特産料理とされており、
ポーランドでは年間のイベント時やイースターに食卓に上ります。

このスープはもっちりした舌触りの中にあるスッキリとした酸味が特徴で、
多くの日本人にも好まれています。

日本の皇族の方も訪問された際に驚かれたという話もあります。

ジュレックの素は瓶詰めがオススメです。

原材料はライ麦粉、ふすま、着色料や人工調味料無添加の水だけで、
家庭で好みの味付けをすることができます。

野菜スープと混ぜたり生クリームを加えたりすることで、
さらに美味しさを引き立てます。

外国人や子供にも喜ばれるジュレックの食べ方ナンバーワンは、
パンの中でスープが泳いでいるスタイルです。

・ビゴス

ビゴスはポーランド、リトアニア、ベラルーシ、
ウクライナなどの伝統的な煮込み料理です。

このスープは繊切りしたキャベツとザワークラウトを肉類(豚肉、ソーセージ、ベーコン)、
炒めたタマネギ、キノコ類と一緒に火にかけて作ります。

ビゴスは2日から3日かけて煮込まれ、食材は柔らかく美味しさが凝縮されています。

以下はビゴスのレシピです(4人分):

材料
– ザワークラウト: 500g(洗って水気を切っておく)
– キャベツ: 1/4個(千切り)
– 豚肉: 100g(角切り)
– 牛肉: 100g(角切り)
– ソーセージ: 100g(スモークソーセージがあれば)
– ベーコン: 30g(1cm幅にカット)
– たまねぎ: 半個(食べやすい大きさにカット)
– マッシュルーム: 25g(薄切り)
– 赤ワイン: 1/3カップ
– オールスパイス: 少々
– 月桂樹の葉: 1枚
– 粒こしょう: 少々
– 塩: 少々
– サラダ油: 適量

作り方:
1. 深鍋に油を入れ、たまねぎを透き通るまで炒め、
さらに千切りキャベツを加えて柔らかくなるまで炒めます。

2. 別のフライパンに油をしき、マッシュルームを炒めて、1の鍋に加えます。

3. 同じフライパンでソーセージとベーコンを炒め、次に肉類を炒めて赤ワインをかけ、
2分ほど熱したら同様に1の深鍋に加えます。

4. 深鍋にサワークラウト、月桂樹の葉、オールスパイス、粒こしょう、塩を加えて混ぜ、
ふたをして最初は中火で15分くらい煮、その後火を弱くして45分から1時間ほど煮込みます。

途中で具を混ぜ、味見して必要であれば塩や水を加えて調味します。
5. 4をお皿に盛って、できあがりです。

ビゴスはポーランドのおふくろの味で、食欲をそそる美味しさです。ぜひ試してみてください。

・鯉料理やその他魚料理

鯉やニシン、サーモンなどを生で食べるほか、
煮たり焼いたり揚げたりと様々に調理します。

・マコヴィエツ

マコヴィエツ はポーランドの伝統的なお菓子で
イーストの入った生地でポピーシードやナッツの入ったフィリングをくるんで
オーブンで焼いたものです。
キリスト教では、ポピーは「肥沃」や「収穫」を表すそうで
このマコヴィエツはクリスマスとイースターの時期によく食べられます。

ただし季節限定のものというわけではなく、
一年を通して食べられているお菓子だそう。

このマコヴィエツに入っているポピーシード(ケシの実)は、
ヨーロッパやアジアで広く利用されている食材です。

日本では「あんパンの上にのせる」などで使われていますね。

ナッツを思わせる香りと味があり、色は黒いものと白いものがあります。

ポーランドではこのポピーシードをパンやケーキに大量に使うことがあります。

マコヴィエツは外側のパン生地がしっとりとした食感で、
フィリングはきめ細かく滑らかですが、
粉末になったポピーシードのザラっとした質感もあります。

ポピーシードのクリーミーで香ばしい味は、
ちょっとゴマを思わせます。

オレンジピールとシナモンがよく効いており、
複雑で実に伝統深い味わいです。

・ピェルニク

ピェルニクはポーランドの冬に欠かせない伝統的なお菓子です。
このジンジャーブレッドはライ麦粉と小麦粉に蜂蜜を練り込んだ生地にシナモン、
ショウガ、カルダモン、クローブなどのスパイスをたっぷり加えて作ります。

形状や食感は様々で、パウンドケーキのようなものから、
パンとクッキーの中間の食感を持つもの、硬いクッキーのようなものまであります。

一般的なピェルニク:
パンとクッキーの中間のタイプで、
お砂糖でコーティングされていることがあります。

中には何も入っていないシンプルなものから、
チョコレートやジャムが入ったものまでさまざまです。

クリスマスマーケットでよく見かけるハードクッキータイプもあります。

トルンのピェルニク:
トルンという都市が有名でピェルニクはこの地域の名物です。

トルンは美しい街並みが世界遺産に登録されており、
天文学者コペルニクスの出身地でもあります。

トルンのピェルニクは、ブラックベリージャムや
ホワイトチョコレートでコーティングされていることがあります。

保存性:
ハードタイプのピェルニクは牛乳や卵を使わずに作られているため、
数カ月から一年くらい保存がきくと言われています。

クリスマス後にはティータイムのお伴に楽しむことができます。

寒い冬にポーランドでピェルニクを楽しむと、身体の芯から温まります。
クリスマスを感じられるこのお菓子は、ポーランド旅行の際にぜひ召し上がってみてください。

〇クリスマスシーズンになると開催されるコンテスト

ポーランドのクリスマスの風物詩といえば忘れてはならないのがショプカです。

・ショプカとは何?

ショプカはポーランドのクリスマスの風物詩で、
キリストの降誕の場面を再現した模型の
クリスマス・ハウスのことを指します。

この伝統的な作品はクリスマスが近づくとポーランド中の
街角や教会に飾られますが、
特にクラクフで創られるショプカは
その美しさと豪華さで知られています。

ショプカの歴史は19世紀後半にさかのぼります。

当初は大工やレンガ職人たちが冬の間の副業としてショプカを作り、
クラクフならではの建築物やキャラクター(ドラゴンやライコニクと呼ばれている
オリエンタルな装飾をしたキャラクターなど)を盛り込んでいました。

その後ショプカは進化し、クラクフの名所や教会、
劇場などの建物も模してさらに豪華になっていきました。

・ショプカとはどのように作られているの?

ショプカは、ダンボールや厚紙、木材を使って作られ、
アルミホイル、綺麗なお菓子の包み紙、
色とりどりのセロファンなどでデコレーションされます。

伝統的にショプカには塔が1つはあり、聖マリア教会やヴァヴェル城の大聖堂や
旧市庁舎の塔などが模されます。

さらに、クラクフの名所であるバルバカン、織物会館、フロリアンスカ門、
教会、劇場などの建物も盛り込まれ、豪華な作品となります。

以下は、ショプカを作る手順です:

1.材料の準備
ダンボールや厚紙、木材を用意します。
アルミホイル、綺麗なお菓子の包み紙、
色とりどりのセロファンなどでデコレーションするための材料も用意します。

2.基本の構造を作成
ショプカの基本の形を作ります。塔があることを忘れずに!
聖マリア教会やヴァヴェル城の大聖堂、旧市庁舎の塔などを模した部分を作成します。

3.デコレーション
アルミホイルで屋根を覆い、綺麗なお菓子の包み紙やセロファンで窓やドアを作ります。
塔の上には愛国的シンボルの白鷲(ポーランドの国章)やポーランド国旗を飾ることが多いです。

4.細工を施す
粘土やプラスチックなどで細工を施します。人形や動く仕掛けを作成することもできます。
昔は中にキャンドルを入れてライトアップしていましたが、現在はライトを使用します。

5.創造力を発揮
ショプカの作成はアート作品なので、自由にアイデアを詰め込んでください。
クラクフの名所や伝説的なキャラクターを追加することで、個性的なショプカを作成できます。

ショプカはポーランドの伝統的なクリスマスの装飾であり、
その美しさと独創性は見る人々を魅了します。

クラクフを訪れる際には、ショプカ展示をぜひ見学してみてください!

・ショプカはどこで見ることができるの?

1.ザリピエ村 (Zalipie)
ザリピエ村はポーランドのクラクフから約80キロ離れた小さな村で、美しい花のペイントで有名です。
村の民家や建物はどれも可愛らしい花模様で飾られており、ショプカの伝統が色濃く残っています。
ザリピエ村はクラクフから電車とバスでアクセスできます。

2.クラクフの観光名所やレストラン
クラクフの観光名所やレストランでもクリスマスシーズンにはショプカを見ることができます。
例えば、ヴァヴェル城前や市内の30ヶ所で期間限定で展示されています。

3.クラクフ民族博物館
クラクフ民族博物館でもショプカが展示されています。
こちらは年間を通して見ることができます。

〇まとめ

ポーランドは国のほとんどの人がキリスト教のカトリックを信仰しており、
自然や文化にその思想が色濃く根付いていると言えるでしょう。

そんな人々がすごすクリスマスはやはり
日本とは大きく異なります。

聖人の日を祝い、お祈りをし、断食をしたりお肉を食べなかったりと
私達にはなじみの薄い習慣がありますが
クリスマスをお祝いしたい気持ちや待ち遠しく感じる気持ち、
クリスマスを迎える喜びはひとしおでしょう。

また日本ではあまりなじみのない食文化やユネスコの無形文化遺産に
登録されるほど独特で美しいショプカ制作の文化は
一度はこの目で見てみる価値があるでしょう。

ポーランドにもクリスマスマーケットや
クリスマスプレゼントを贈る文化はありますが、
欧米と同様にクリスマス当日はお店はどこもお休みをしているので
クリスマスシーズンに旅行にいく方は気を付けてくださいね。

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