クリスマス好きには欠かすことのできない聖書を
ざっくり読み解こう という企画の続きです。
旧約聖書については、こちらの記事をどうぞ。
クリスマス好きには必須?教養として【旧約聖書】をざっくりまとめてみた
今回は新約聖書についてです。
キリスト教における聖書とは、
神が万物を創造してから民衆が救世主という
存在を求め始めるまでが書かれた【旧約聖書】と
救世主であるイエス・キリストが誕生し、磔刑にされて復活する
という出来事が書かれた【新約聖書】の2つが存在します。
つまり新約聖書とはキリスト教にとって絶対的なキーパーソンである
イエス・キリストのことが書かれている書物と言っていいでしょう。
旧約聖書にもクリスマスとの関係性を感じられる部分はあるのですが、
クリスマスとはイエス・キリストの生誕を祝う日なので
新約聖書に記述されていることはクリスマスに関係することが
盛りだくさんに書かれています。
そんな新約聖書をあくまで個人的に
趣味と教養の範囲でざっくりと文章にまとめてみました。
目次
〇新約聖書って何?クリスマスとの関係は?
新約聖書は西暦45年から95年の間に書かれたとされています。
これらの書物はイエス・キリストの生涯と教えに従う者たちによって書かれました。
それぞれの書物は著者、成立時期、成立場所などが異なり、
それらは最初から新約聖書をつくろうとして書かれたのではなく
著者、成立時期、成立場所がばらばらな書物をまとめて成立したものとされています。
そしてこれらの書物が『新約聖書』としてまとめられたのは
紀元150年から225年ごろの間であるといわれ新約聖書は約50年で完成したそうです。
新約聖書は計27巻によって構成されており、
これらはイエスと出会った感動を人々に伝え、
後世に残すために記録したり手紙にしたりした ということなのです。
・新約聖書の構成
福音書4巻
マタイによる福音書
マルコによる福音書…一番古い
ルカによる福音書
ヨハネによる福音書…最後に成立
歴史書1巻
使途言行録…元々はルカによる福音書と一体だった
手紙21巻
パウロの手紙13巻
匿名著者1巻
公同書簡7巻
黙示録1巻
ヨハネの黙示録
そしてクリスマスは御存じの通りイエス・キリストの誕生を記念する祭日です。
しかし聖書にはイエス・キリストの具体的な誕生日は記されておらず、
12月25日がイエス・キリストの実際の誕生日であるという証拠は存在しません。
この日は「イエス・キリストの誕生を記念する日」とされています。
クリスマスの語源は”Christ”(キリスト)と”mass”(ミサ)が一つになった言葉で、
“Christ’s mass”(キリストのミサ)という意味になります。
ミサはキリスト教の礼拝の一部で特にカトリック教会で行われるもので、
イエス・キリストの最後の晩餐を記念する儀式です。
クリスマスの習慣の一部は聖書の記述に基づいています。
例えばプレゼントを贈る習慣は、聖書に記されている
「東方の博士たちがイエスに贈り物をした」ことから来ていると言われています⁴。
しかしクリスマスの起源や習慣の多くは、
キリスト教以前の宗教的な祭りや習慣から取り入れられたものも多いです。
そのためクリスマスはキリスト教の祭日であると同時に、
多くの文化や伝統が融合した祭りとも言えます。
それぞれの家庭や地域、国によってクリスマスの祝い方は様々で、
宗教的な意味だけでなく、家族や友人との絆を深める大切な時間としても捉えられています。
〇なぜイエス・キリストに出会うと感動して聖書にしたくなるの?
神と天使、そしてイエスは様々な奇跡を起こしていました。
①聖母マリアに大天使ガブリエルが受胎告知をする
②ベツレヘムでイエス誕生
クリスマスはこの時のことをお祝いする行事ですね!
③羊飼いと東方の三博士による礼拝
東方の三博士による礼拝についてはこちらの記事もどうぞ↓
クリスマスを絵画で読み解く!ジョット作『東方の三博士の礼拝』
④ヘロデ王による幼児殺害命令のため、エジプトへ逃避
⑤イエスの神殿奉納(キャンドルマス)
詳しくはこちらの記事もどうぞ↓
クリスマスシーズンの終わりを告げるキャンドルマスをご存じですか?
イエスの受難(裁判・処刑における身心の苦痛)を示唆
⑥預言者ヨハネ(洗礼者ヨハネ)から洗礼を受ける
⑦荒野でサタンの誘惑を退け、宣教活動を開始する
⑧洗礼者ヨハネの死
サロメが洗礼者ヨハネの首を欲しがったとされる有名な出来事
⑨十二使徒の誕生
様々な職業、思想を持った弟子たちが登場する
⑩結婚式で水をワインに変える
⑪たくさんの病人を癒し、亡くなった人を復活させる、湖の上を歩くなど
⑫パンと魚が増える奇跡を起こす
この話は新約聖書の中でも繰り返し語られており、
聖餐(最後の晩餐)の原型とも言われています。
⑬マグダラのマリア
信徒の中でも重要な地位にあったとされる女性。
イエスの磔刑や埋葬にも立ち会っており、
復活したイエスと最初に会ったのも彼女だとされています。
⑭イエスによる民衆の心を捕らえる説教
・イエスと姦通の女
・山上の説教
・麦と神の言葉
・善きサマリア人
・放蕩息子の帰還 など
⑮イエスのエルサレム入城
⑯最後の晩餐
・イエスが「自分を裏切る者がいる」と発言
・パンを弟子たちに与え「これは私の体である」
・杯を弟子たちに渡し「これは私の血である」
⑰オリーブ山で受難を前に苦悩するイエス
⑱裏切者ユダからの接吻
⑲イエスの裁判→判決→死刑
⑳イエスの復活、昇天
イエスが復活し、40日後神の右の座に座る
神の右の座とは神から全権を委任されたものが座るところだといわれています。
㉑終末と最後の審判
神による最後の審判が下されて、
善人は神の御許(みもと)に受け入れられるが
悪人は永遠の地獄に落とされる というものです。
以上のように聖書ができたのはイエスから神の奇跡を見せられ、
イエスによって導かれた神と人との新たな契約を
それぞれが後の世代に伝えるために記録しておいたということではないでしょうか。
〇新約聖書の要点を押さえるにはどうしたらいい?
新約聖書を大まかに理解するためのポイントは3つです。
・聖書は神と人との契約書である
聖書は神が人間に対する約束と、人間が神に対する忠誠を表しています。
旧約聖書では神はアブラハム、イサク、ヤコブといった個々の人々と契約を結びましたが、
新約聖書ではイエス・キリストの十字架上の死により新しい契約が確立されました。
・イエスは神の子であり救世主(メシア)である
イエスは神の愛と救いのメッセージを伝え、
人々を罪から救うために地上に送られた存在だったのです。
・イエスは生まれたときから死ぬ運命にあった
イエスは神の子としてこの世に生まれ、
罪から人々を救うために自らの命を犠牲にしました。
これは神の愛と救いの計画の一部であり、
イエスの死と復活は新しい契約の設立を象徴し、
罪からの救いが全ての人々に開かれることを示したからなのです。
〇まとめ
以上のようにキリスト教における聖書とは、
旧約聖書と新約聖書の2つが存在し、
旧約聖書は万物の創造からユダヤ人と神との関わりが書かれており、
新約聖書にはイエス・キリストの生涯と終末・最後の審判が書かれています。
どちらの聖書もクリスマスとの関係がある…というよりは
クリスマスが聖書に関係のあるイベントというわけです。
また布教のために有名な画家が描く宗教画や彫刻などもたくさん残されており、
キリスト教の象徴や聖書に登場するストーリーなどを知っておくと、
西洋美術の作品をより深く理解する手掛かりにもなって面白いでしょう。
これはほんの一例になりますが、
・ワイン…イエスの血
・ブドウ、ブドウの木…キリスト教の信仰や教会
・鳩…精霊、平和
・子羊…イエスのこと
・オリーブの枝…神と人との和解、平和
・ブタ…貪欲、淫欲の象徴
・ヤギ…悪魔
・火、特にキャンドルの炎: 聖霊と光 など
海外の歴史や教養を知る上でキリスト教は
学ばずにはいられない分野だと思います。
逆に言うと、キリスト教のことを知ると他の国のことを
より多くより深く知ることのできるきっかけになるでしょう。
私自身も今回ざっくりとまとめてみただけで、
まだまだ勉強は足りていません。
これからももっと大好きなクリスマスについての知識を深めるために
日々精進していこうと思います。