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ホームズシリーズで唯一書かれたクリスマスの話、『青い紅玉』とは?

クリスマスの謎…というとあなたはどんなことを想像しますか?

今日は現代におけるミステリー作品の基礎を築いた と言われる
アーサー・コナン・ドイルの短編小説、
シャーロック・ホームズシリーズの『青い紅玉』についてお届けしたいと思います。

クリスマスにピッタリの推理小説ですのでぜひ堪能してみてくださいね。

〇『青い紅玉』ってどんな話なの?【ネタバレあり】

舞台は19世紀末のロンドンで、
話はクリスマスから2日後の朝から始まります。

主人公である『私』がホームズの元に向かうと、
ホームズはなにやら古い帽子を調べていた様子でした。

私は「仕事中だったかな。邪魔だったね」というと、
ホームズは「とんでもないよ。推理を聞いてくれる友人は大歓迎だ」
と言います。

続いて私は「この帽子は見た目に反して犯罪に関係する、
恐ろしい話でもあるのかい?」と聞きますが、

ホームズは「犯罪は関係ないよ。これはね…」と話し始めるのです。

ホームズが言うには、この帽子は上等な太ったガチョウと共に
クリスマスにやってきたそうです。

持ってきたのはホームズと私の共通の知人である、
退役軍人で今は便利屋や配達人をしているピーターソン。

そのピーターソンが言うには
彼が外出していた時に帽子を被りガチョウを抱えた
背の高い男が歩いていましたが、

その男性は数人の荒くれ者に絡まれていました。
荒くれ者は男性の帽子を払ったので、
男性は身を守ろうと杖を振り上げました。

そのはずみで後ろにあった商店の窓を壊してしまったのです。

ピーターソンは男性を助けようと走って近寄ると、
警官と間違われたらしくみんな逃げてしまいました。

そして残されたのはひしゃげた帽子とまるまる太った
クリスマスのガチョウ…ということだったのです。

ガチョウには『ヘンリー・ベイカー夫人へ』と書かれた
厚紙が左足にくくりつけてあり、
帽子にも『H・B』という頭文字がついているのですが

ヘンリー・ベイカーという名前の男性は
ロンドンにはたくさんいるために
どんな小さな問題にでも興味を持つホームズの所へ
この謎を持ってきた というわけなのです。

ガチョウの方は寒い季節ながらももうすぐ
食べなくてはいけない頃合いだったのでピーターソンに渡し、
ひしゃげた帽子だけがホームズの手元に残りました。

ホームズが帽子の主の推理を始めると、
ガチョウを調理しようとしたピーターソンが
血相を変えて部屋に戻ってきたのです。

「ホームズさん、ガチョウの胃袋からこんなものが出てきたんです!」
ピーターソンの手のひらには、
燦然と輝く青色の小さな豆粒ほどの石が乗っていました。

「これはダイヤモンドでしょうか?」ピーターソンはホームズに聞きました。

ホームズは「それ以上のものだよ!今宝石といえばあれしかないからね」
私は思わず「モーカー伯爵夫人の青いガーネットか!」と叫びます。

モーカー夫人の青いガーネットとは、
12月22日にコズモポリタンホテルで紛失し
配管工のジョン・ホーナが訴えられていた事件でした。

しかし夫人の宝石は見つからず、
懸賞金がかけられていたのです。

ホームズはガチョウを持っていたヘンリー・ベイカーと話をするために
夕刊に広告という名のメッセージを出し、
そして調理してしまったガチョウの代わりを用意します。

私も往診をしてくると言って一度ホームズの部屋を後にします。

夕刻になり、私がホームズの所へ戻ると背の高い男がいて、
一緒に部屋に通されました。

背の高い男はヘンリー・ベイカー氏で
帽子とガチョウは自分のものだと言いました。

ホームズがガチョウは代わりのものを用意しましたと言うと、
ベイカー氏はそのガチョウを喜んで受け取ろうとします。

ベイカー氏は青いガーネットの事件とは無関係だったのです。

では宝石はどこから来たのでしょうか?

ベイカー氏が言うには、このガチョウはとあるパブが作った
『ガチョウ同好会』のガチョウだと教えてくれました。

毎月お金を少しずつ積み立てると、クリスマスに1人につき
立派なガチョウが一羽もらえるという仕組みなのです。

ホームズはワトソンに一緒にそのパブに行かないか?と誘います。

私はワトソンのことだったのです。

パブに着くと、ガチョウはコヴェント・ガーデン
(ロンドン中心部のシティ・オブ・ウェストミンスターにある地区)の
ブレッキンリッジという店の売り子から2ダースほど
卸してもらったものだと教えてもらいました。

ホームズとワトソンの2人はブレッキンリッジの所へ行きます。

ところが店主にガチョウのことを聞くと突然怒り始めるのです。

ブレッキンリッジの店主が言うには、
ここのところずっと色々な人が店に来ては
ガチョウのことを聞いて回るので、
ほとほと嫌気がさしていたようです。

しかしホームズは機転を利かせて、
ガチョウがオウクショット夫人の所から
仕入れていることを教えてもらうことに成功します。

2人はオウクショット夫人を訪ねようか迷っていると、
ブレッキンリッジの主人が今度は小柄な男を
店から追い出しているところでした。

小柄な男もまた、ガチョウのことを調べている様子だったので、
2人はその男性に話しかけました。

小柄な男性ははじめ偽名を使おうとしましたが、
ホームズがそれを見抜き、本名を名乗るように伝えました。

彼の名前はジェームズ・ライダー。
コズモポリタンホテルの客室係長だったのです。

この一連の事件の謎に気づいたホームズは、
ライダーを自分の部屋へと招きました。

そしてガチョウの生んだ金の卵、
すなわち青いガーネットをライダーに見せると
ライダーはさっと顔色を変えたのでした。

ホームズは「この宝石はモーカー伯爵夫人のものだ」というと、
ライダーは「キャサリンという夫人のメイドが教えてくれました」
とあっさり本当のことを話し始めたのです。

モーカー伯爵夫人の宝石を盗もうとしたのは
キャサリンとライダーの二人で、
その罪をホーナに着せようとしたのです。

ガチョウの仕入れ先であるオウクショット夫人とはライダーの姉であり、
クリスマスプレゼントに姉はライダーに飼育しているガチョウを
1羽くれると言っていました。

その中でも特徴のある模様のガチョウに宝石を飲み込ませ、
それを姉からもらおうとしたのですが、
同じ模様をしたガチョウはもう1羽いたのです。

ライダーは宝石を飲み込ませていないガチョウを選んでしまい、
もう1羽のガチョウは巡り巡ってベイカー氏のもとへいった というわけなのです。

ライダーはとても小心者のようで、
ついにはホームズ達の目の前で泣き始めてしまいました。

ホームズは少しの間考えましたが、
ライダーに向かって「何も言わずに出ていきたまえ」と言います。

訴えられているホーナは証拠が不十分で今後も立証は不可能、
ライダーが出廷しても彼に不利な証言をすることはないし
そしてライダーは悪人ではなかった。

つまり罪には問われないだろうとホームズは分かっていたのです。

今はクリスマスシーズン。
ホームズはライダーを赦したのでした。

〇青い紅玉のストーリーのポイントは?

話の中盤にようやく『私』がワトソンだと明かされるのが
とても面白い表現の仕方だと思いました。

「青い紅玉」はシャーロック・ホームズの短編集の中でも特に人気のある作品なので
以下にその主要なポイントを3つ紹介します。

・ガチョウと宝石

この物語の最大の謎は、なぜガチョウの体内に盗まれた宝石が入っていたのか、ということです。
この謎が物語全体を通してのテーマとなっています。

・犯人の特定

宝石を盗んだ犯人はホテルの客室係であるジェームズ・ライダーでした。
彼はガチョウの体内に宝石を隠しましたが、うっかり間違えて、
宝石の入ったガチョウを取り違えてしまいます。

・ホームズの推理

ホームズは帽子とガチョウの持ち主だった男性に事情を聴きます。
しかし帽子の持ち主は、宝石のことを知っているような素振りはみせません。

そこでホームズはワトソンと一緒に、ガチョウの出所をたどり始めます。

〇クリスマスと青い紅玉の関係は?

「青い紅玉」はシャーロック・ホームズシリーズの中の一編で
クリスマスと密接な関係があります。

以下にその関係性を説明したいと思います。

・物語の時期

物語は「クリスマスから2日目の朝」、つまり12月27日に始まります。
この時期の設定は物語の雰囲気を高め、読者にクリスマスの季節感を感じさせます。

・ガチョウの存在

クリスマスの伝統的な食事としてガチョウが登場します。
このガチョウが物語の中で重要な役割を果たし、
盗まれた宝石「青い紅玉」が見つかるきっかけとなります。

・贈り物のテーマ

クリスマスは贈り物を交換する季節であり、
この物語でも「青い紅玉」がある意味で贈り物として登場します。

しかしこの贈り物は盗まれたものであり、
その回収と犯人の特定が物語の主要なテーマとなっています。

以上のように、「青い紅玉」はクリスマスの季節と深く結びついた物語と言えます。

〇まとめ

「青い紅玉」は、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説で、
初めて発表されたのは「ストランド誌」の1892年1月号でした。

この作品は、同年に発行された短編集
『シャーロック・ホームズの冒険』にも収録されました。

ストランド誌はイギリスの月刊誌で、
シャーロック・ホームズシリーズの多くの作品がここで初めて発表されましたが
クリスマスの話は今回ご紹介した『青い紅玉』のみとされています。

そしてストランド誌はシャーロック・ホームズとその作者である
アーサー・コナン・ドイルの人気を高める大きな役割を果たしました。

以上のように『青い紅玉』とストランド誌との間には、
作品の初出という重要な関係があったのです。

クリスマスのウキウキとした雰囲気の中、
ガチョウから謎が生まれて
それをホームズが解き、犯人を赦す…

浮かれるだけではない、クリスマスらしいストーリーでしたね。

なおこのお話をもっと詳しく知りたい!という方は
やはり一度本を読むことをオススメします。

シャーロック・ホームズの冒険〔新版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ト 1-13)

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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