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もらってうれしいクリスマスカード。その起源はヨーロッパの郵便制度から

12月に入ると店頭でチラホラと
見かけ始めるクリスマスカード。

日本人はその頃になると
今年も年賀状の用意をしないと…
と思いがちですが、

欧米諸国の人たちは
クリスマスカードに
新年のあいさつも一緒に添えて
お祝いの言葉を交換しあいます。

そんなクリスマスカードの起源について
今日はお話したいと思います。

ヨーロッパの郵便制度の始まり

中世のヨーロッパでは
王室飛脚、僧院の使者、学生が故郷の家族に送る
大学飛脚、都市飛脚、さらには
肉を急いで運ぶ馬車に手紙を添える
肉屋郵便などが信書を取り扱っていました。

その後1490年頃から1870年頃まで
オーストリアのトゥルン・ウント・タクシス家が
神聖ローマ帝国(ヨーロッパ大陸)の
ほぼ全ての郵便物を扱っていたのです。

タクシス家は初め
ハプスブルク家の郵便物を
無料で扱っていました。

しかし、神聖ローマ帝国のカール5世に
国内の郵便物の取り扱いの
独占権を求めたのです。

そして一般利用者からの収益で
郵便事業を営む代わりに
政府の郵便物を無料にすることが
決定しました。

ウィーンのマリア・テレジアが
フランスに嫁いだマリー・アントワネットに
送った手紙などもタクシス家が
運んだものだったそうです。

18世紀の終わりには
郵便制度を独占していることに対して
疑問の声が上がりました。

またオーストリアの秘密警察が
郵便役人に紛れて郵便物の検閲を
行うようになったのもこの頃です。

トゥルン・ウント・タクシス家は
1850年頃には最初の切手を
発行したりもしましたが、

1867年にはプロイセン王国が
郵便事業を買収することになり、

バイエルン王国、オーストリア、
フランスもそれに続いて
郵便事業の国有化をしたのです。

イギリスでは早くも12世紀には
ロイヤル・メール制度というものが
確立されていましたが、

それを利用できるのは
王室関係者に限られていました。

14世紀~15世紀にかけて、
商業、工業が活発になってくると
一般にも郵便・通信の必要性が
高まっていきました。

17世紀には官営の郵便事業に対する
民営の安い郵便制度もできたのですが
1680年頃には禁止され、

以後150年ほどの間、官営郵便が
料金を値上げしていったのです。

1832年にこの値上げを繰り返していた
料金を引き下げて、
料金を重量別の全国一律料金とする
郵便制度改革がされました。

その時に郵便物を送る際には
現金で支払うか、受取人が支払うか
のどちらかだったものを

切手を貼るようにし、
一律に発送人が支払うシステムが
作られたのです。

この制度は1840年から施行され、
ドイツ、フランス、アメリカなど
世界中で導入されることになりました。

クリスマスカードの前身となるもの

元々ドイツやフランスなどでは
子供が両親や祖父母に
新年のあいさつの詩を書いて
渡す習慣が15世紀からありました。

その内容はこの一年間、
愛情をこめて育ててくれたことの感謝や

新年が両親、祖父母にとって
良い年になるように願うことを
書いた手紙でした。

17世紀頃から各家庭で
クリスマスがお祝いされるようになると

子供たちが一生懸命作った詩を
クリスマスに渡すようになり、

日頃の感謝に加えて
来年も良い子で過ごすことを
約束する内容に変化していきました。

18世紀後半にこの詩を
書くための専門の紙を
ハンブルクの印刷業者が売り出すと、

北、北東ドイツなどの裕福な家庭で
変化していくことになります。

子供たちはこの専門の用紙に
インクで詩を綺麗に清書し、
12月24日の晩に両親に渡します。

そして紙に書いてある詩を暗唱して、
詩の書き方の練習と暗唱の成果を
見せるのです。

この詩は『両親へのクリスマスの手紙』
と呼ばれるようになり、
19世紀には学校の授業の中に
取り入れられるようになり、

手紙に書く詩の詩集本が
出版されるようにもなりました。

また、キリスト教の宗教的なモチーフや
サンタクロースの前身となる
クリスマスおじさんなどの
カラー印刷された専門用紙も登場し、

子供達は店頭で好きなものを選んだり
学校を通して注文していました。

以上がクリスマスカードの
前身となるクリスマスの手紙です。

しかしそのピークも19世紀後半から
20世紀にかけてで、
世界恐慌と共にこのような習慣も
姿を消していったのです。

クリスマスカードの登場と普及するまで

 

世界で最初にクリスマスカードが
作られたのは1843年、
イギリスの美術館のヘンリー・コール館長
により作成されたと言われています。

ヘンリー・コールはイギリスの画家
ジョン・カルコット・ホースレイに
クリスマスカードのデザインを依頼して、

それをリトグラフで印刷し、
それをプロの彩色家が色付けました。

このクリスマスカードは
1枚1シリングで販売され、
1000枚ほどが売れたと言います。

しかしこの時はまだクリスマスカードは
浸透しませんでした。

クリスマスカードが一般に普及したのは
ドイツで絵はがきが作られるように
なってからのことだったのです。

印刷技術の発達によって
絵はがきが大量生産できるようになると

友達や知人に絵はがきを
送ることが流行しました。

はがきの表面に絵が描かれていることで
手軽に時候のあいさつや、
自分の気持ちを伝えることができる

簡単なコミュニケーションツールとして
クリスマスカードは世界中で
人気となっていったのです。

まとめ

中世ヨーロッパでは
専用の飛脚が存在し、
それぞれの信書を取り扱っていました。

その後オーストリアの
トゥルン・ウント・タクシス家が
神聖ローマ帝国(ヨーロッパ大陸)の
ほぼ全ての郵便物を扱うようになっていきました。

しかし段々と
それに反対する声が強まり、
タクシス家がプロイセン王国に
郵便事業を売り渡すと、

周辺各国も郵便事業の国営化を
始めるようになりました。

イギリスでも高い料金で
郵便事業が行われていましたが、

郵政改革がされ
郵便料金が見直されると共に

重量別に一律料金がかかること、
差出人が切手を貼って
郵便を出すことなどが決定され、

それが世界中に広がっていったのです。

さらに15世紀頃ドイツ、フランスなどでは
両親や祖父母に新年のあいさつなどを
詩にする習慣があり、

それが一般の家庭でクリスマスが
祝われるようになると
クリスマスの手紙へと変化していきました。

世界恐慌によりこの文化は
姿を消していきましたが、

イギリスでクリスマスカードが
初めて販売された後に

ドイツで絵はがきが大量に
印刷されるようになると、

気軽なあいさつの手段として
全世界でクリスマスカードを
送りあうようになったのです。

クリスマスカードの
ラメが付いたクリスマスツリーやリース、
金銀の箔押しなどの装飾などを見ていると
幸せになれます。

海外の人たちもきっと同じ気持ちで
カードを送りあうのでしょう。

可愛いものから、美しいデザインまで
種類が豊富にあり、
さらに歴史があるので
アンティークのクリスマスカードを
収集している人もたくさんいるのだとか。

中には先述した
ヘンリー・コールが初めて販売した
クリスマスカードもオークションで
取引されることがあるそうです。

私も本物を見たいと思っていますが、
美術館などに展示されない限り
なかなか見ることはできませんね。

日本では中々送り合う習慣のない
クリスマスカードですが、
今年は家族や友人とそれぞれ
気に入ったものを交換してみてはどうでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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